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金は怒らず

裁判官になって間もないころ、先輩の裁判官に言われた言葉があります。
「田中さん。裁判官というものは、決して怒っちゃいけないんだよ。怒って感情的な裁判をすることは最も恥ずべきことだよ。これを『金は怒らず』というんだよ。」
なるほど、一時の感情を出して感情的な裁判をすれば、間違った判断になりやすいでしょう。
それからというもの、私は、この「金は怒らず」という言葉をいつも頭において、仕事をしてきました。
中には、裁判官に向かってわざと食って掛かるような発言をする人もいます。
業務上過失傷害罪(被害者の怪我2週間の要加療。示談成立)を犯しながら、裁判官に対し、
「何が悪いんですか。ただの交通事故じゃないですか。なぜ仕事を休んで法廷まで呼ばれるんですか。」などと言う人もいるのです。
被告人の反省の態度は全く見られないといわざるを得ませんが、加療2週間の傷害で示談も成立している被告人に実刑を言い渡す訳にはいきません。
やはり、ここは「金は怒らず」です。感情的な裁判をすることはできませんので、執行猶予の判決を言い渡しました。
日常生活でも、「金は怒らず」は、大事だと思っています。
夫婦喧嘩のときも……。
銀座ファースト法律事務所 弁護士 田中 清
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白山の登山

若いとき、仲間と白山に登ったことがあります。
白山は、立山、富士山と並んで、日本3霊峰と呼ばれています。
立山は、立山黒部アルペンルートが古くから開通し、標高2450メートルの室堂までバスで行けますし、富士山も五合目まで、バスで行けます。その点、白山は、麓から登って行きますので、標高は3霊峰の中では一番低いのですが、3霊峰の中では、一番苦労すると思います。
白山御前峰は、標高2702メートルあるのですが、その雄姿を見ることができるのは、標高1000メートルくらいでしょうか。
「えっ、まだあんなに登るの?自分にも登れるの?」と思ってしまいます。何しろ随分遠くに見えますから……。
ところが、「ゆっくり、休まず」の精神で、一歩ずつ歩んでいけば、霊峰が少しづつ近づいて、とうとう御前峰の頂上まで登ってしまうのです。
頂上の景色の素晴らしさは、山に登った人にしか分からないでしょう。私たちが良く見る景色とは、全然違うのです。
そのとき、私は思いました。
「ゆっくり、休まず」の精神で行けば、何事も極められる。「遠いから行くのをやめよう」ではなく、ゆっくりでもいいから、休まずに行ったら、いつの間にか頂上に行ける。
私たちの仕事でも、裁判官時代には、原稿用紙800枚の判決を書き上げたこともありますし、弁護士になってからもA4で300枚から500枚の最終準備書面を書いたこともあります。
そんなときも、書かないで溜め息をついているよりも、とにかく書き始めたらいいのです。「ゆっくりでもいい。休まずに歩いたらいい。」そうしたら、いつか頂上を極めることができると信じて……。
そして、何度も、頂上に辿りついています。

銀座ファースト法律事務所の弁護士田中清(田中清弁護士)のブログ

「寒いねと話しかければ寒いねと答える人の居るあたたかさ」吉本ばななさんの作品ですが、この短歌には、幸せとは何かを感じさせるものがあります。
曽野綾子さんの作品に中にも、「幸せのバーを低くすると幸せを感じられる」との言葉がありました。
できるだけ、幸せのバーを低くして、残りの人生を楽しみたいと思います。
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弁護士田中清

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