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松井選手の骨折に学ぶ

 国民栄誉賞を受けた松井秀喜選手は、2006年5月11日 レッドソックス戦で左手首を骨折しました。野球選手にとって、左手首の骨折は、選手生命の危機というべき大事件でしょう。
 しかし、松井選手は、次のような言葉を残しています。

• 今回の左手首の骨折は、これまで体験したことがないほどのアクシデントです。肉体的にも精神的にも、これを乗り越えられるかどうかが、今後の僕の選手生活を左右すると言ってもいいでしょう。
乗り越えてやろうと思っています。乗り越えてみせると、自分自身に誓っています。
そのためには、いま自分がすべきことは何なのかを正確に受け入れ、それを補う努力をしていくしかないと思っています。
• それを悲しいとは思いません。それを含めて、この左手首と付き合っていくつもりです。以前と同じように動かないのならば、工夫して、練習して、トレーニングをして、骨折する前よりすごいバッターになってやればいい。心の底から、そう思っています。
• 左手首の傷跡を見ながら、思いました。アクシデントは突然やってきますが、いつも僕を成長させてくれます。今回の骨折も、松井秀喜という未熟者を厳しく鍛えてくれました。
• 一度のミスも、スランプもない野球選手などいるでしょうか。絶対にいません。プロ野球選手として成功してきた人々は、才能だけではなく、失敗を乗り越える力があるのだと思います。僕も、そんな力を身につけたいと考えています。どんな技術やパワーよりも、逆境に強い力を持った選手になりたいと願っています。
• 2006年に左手首を骨折しましたが、それが逆境だとは思いませんでした。ケガしたら、治るのを待つだけでした。周囲の人から見たら、ケガは逆境に見えたかもしれませんが。
• いつか現役を引退するとき、左手首を見つめて「おい、あのとき骨折してよかったよなあ」と語りかけてやりたい。そう言える日がくるかどうかは、これからの自分自身にかかっているわけです。間違っても、「あのとき骨折さえしなければ……」と振り返るような野球人生だけは送りたくありません。

 このように前向きに人生を歩んでいきたい、私は、松井選手の言葉に勇気づけられています。
 ゴルフをしていても、何度も失敗があります。「あのときのOBが無かったら」「あのアプローチの失敗がなければ」と思うこともありますが、「たら」「れば」は厳禁なのです。失敗をするのがゴルフなのですから。そして、人生にも失敗や病気、事故はつきものですから。
 「たら」「れば」を言ってもしかたがないのです。
 弁護士 田中 清(銀座ファースト法律事務所)
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ろくろとひねり

 初任地の金沢地方裁判所の所長は、行政法で有名な浅賀栄さんでした。
 浅賀さんは、月に1回の昼食会で、いろいろとためになるお話をしていただきました。そのうちの1つに、「ろくろとひねり」という話がありましたので、紹介させていただきます。
 金沢は、九谷焼や大樋焼など、有名な陶器があります。
 陶器を作る方法には、ろくろで回しながら作る方法と、ろくろを使わずに、最初から粘土をこねて作る方法の2つがあります。後者はひねりと言います。
 浅賀所長は、「ろくろは経験がものをいう。何十年ものろくろの技術は、到底初心者がまねをしても熟練者の技術にはかなわない。一方、ひねりは、熟練者が大抵いいものを作るのだが、ときとして、初心者のひねりが熟練者のひねりを上回ることがあり、立派な作品を作り上げることがある。裁判官も同じである。文章表現などの技術は、ろくろと同じで、若い裁判官は熟練裁判官の文章表現にはかなわない。しかし、ひねり=法律的な発想は、ときとして若い裁判官の法律的な発想が熟練裁判官の法律的な発想を凌ぐことがある。したがって、若い裁判官は、熟練裁判官のろくろを見習うべきである。また、熟練裁判官は、若い裁判官のひねりを馬鹿にしてはならない」とおっしゃったのです。
 なるほど、熟練裁判官にも若い裁判官にも戒めになる言葉だと感心しました。
 弁護士 田中 清(銀座ファースト法律事務所)
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