fc2ブログ

銀二貫を読んで……その2

私は、この小説で心に残った個所が2つありました。
 その1つは、商売における心構えです。
井川屋が卸す寒天は丹後産の天草を使っているもので、お得意先は皆そのことを承知していることです。
 関東地方では、伊豆産の天草を使っているそうで、将軍家にも御用達とされた上質の天草とされています。
 井川屋のお得意先は、何軒もありますが、最近開拓したお得意先に、浮舟という高級料亭があり、井川屋の最大のしかも最上級のお得意先になったのです。
 ところが、従来の取引先である山城屋と松葉屋から苦情が入るのです。
 「井川屋は、浮舟には上質の伊豆産の天草を使った寒天を卸しているが、山城屋や松葉屋のような従来の取引先には、質が劣る丹後産の天草を使った寒天を卸している」というものです。
 井川屋の主人和助は、すぐに浮舟に乗り込み、「井川屋は、最初から丹後産の天草を使った寒天を卸していると言っております。誰がそんな間違った噂を流したのでしょうか」と言ったのです。浮舟の主人はシラを切り、板長などの従業員を呼び付け、従業員があらぬ噂を流したことにしてしまいます。
 しかし、和助は、浮舟の主人がこのような噂を故意に従業員に命じて流させ、これを従業員の所為だと言ったことを見抜き、「今日限り、浮舟との取引を止めさせていただきます」と言ったのです。浮舟の主人は、「寒天問屋は、井川屋だけではない」と啖呵を切って、この場で取引を終了させたのです。

 井川屋は、正直な取引を選び、最大のしかも最上級のお得意先を切ったのです。私は、正しい選択であったと思いますが、現実の世界ではなかなかできることではありません。最大・最上級のお得意先を切るということは、小さな問屋である井川屋にとっては、倒産にも繋がりかねない重要な決断です。
 しかし、正直な正しい取引をやっていれば、やがて正しい上質のお得意さんが付くことは間違いありません。そのときは経営が苦しくても長い将来を見れば、質が良い順調な未来が約束されると思います。
 弁護士 田中 清
スポンサーサイト



「銀二貫」を読んで その1

 「お父さん、原で寒天作ってたんか?」
 大阪の息子の家に泊まった時、いきなり息子からそのような話が出されました。原とは、私が生まれ育った高槻市原のことで、「銀座ファースト法律事務所弁護士田中清のメモ」(川のブログ)に詳しく出てきます。
 「そうや。原は寒天作りで有名やったんや。何で?」と私が問うと、息子から次のような話が出されました。
 「『銀二貫』ていう小説知ってるか?今、NHKで木曜日夜に9回シリーズで放映されているんやで。ホンマに面白い本やから、読んだらいいよ。貸してあげるから」ということでした。
 「本の中で『島上郡原村』という言葉が出てきて、ひょっとしたら『高槻の原』のことと違うかと思うてね」
 「そうや。原は、寒暖の差が激しく、昔から寒天作りが盛んやった。原の宮田半兵衛という人が寒天作りを始めたと聞いてる。子供のころには10軒以上もの寒天作り農家があったんや。寒天工場のことを『天場』と言って、冬の間だけ丹波から出稼ぎに来る人が来てそこで働いていた。私のおふくろも天場で釜炊きをしてたんやで」などと話しました。
息子は、「宮田半兵衛……、天場……、全部、銀二貫の本に出てくるよ。しかし、全然知らなかったよ」と興奮して言いました。
「私のブログ『銀座ファースト法律事務所弁護士田中清のメモ』には、母親が天場で釜炊きをしていたことも書いたよ(中学3)。それから、中学1年生のときの短歌をいくつか紹介してあるよ。その中で、『出て見れば 木枯らし吹きて寒天の カセ打つ音ぞ遠く聞こゆる』とか『まだ暗き 明けの夜空に立ち込める 天場の煙 霜を融かしつ』などは、寒天作りの風景を詠んだものだよ。」と言ったのでした。
弁護士 田中 清

プロフィール

弁護士田中清

Author:弁護士田中清
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR