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心温まる話

 11月24日と25日は、仕事で、福島県いわき市に行って参りました。いわきは何度も行っておりますが、東日本大震災でかなりの被害が出たところです。私も震災直後にいわきを訪れましたが、道路のひび割れが大きく、未だに完全に修復ができていません。
 いわきからの帰り道、同僚と6人で道路を歩いていましたが、震災の傷跡の道路の段差に躓いて、転んでしまいました。そのとき、右眼のところを負傷し、眼鏡の右レンズが吹っ飛んでしまいました。同僚の1人の医師が、右眼の縁に血が流れているのを見て、「血が流れていますよ。万能の塗り薬がありますので、これを塗りましょう。」と言って、血を拭いて、薬を塗ってくれました。また、別の同僚の1人が、吹っ飛んだ右レンズを見つけてくれました。幸いにもレンズに損傷はなく、レンズとフレームを繋いでいる糸が切れている状態でした。
 そして、その同僚の1人が、「向かい側にメガネ屋さんがありますから、修理されたらいかがですか。」と言ってくれたのです。帰りの電車まで1時間しかありません。しかし、折角言っていただいたので、そのメガネ屋さんに行ってみることにしました。
 そのメガネ屋さんは、「ネモト」というメガネ屋さんですが、私が行くと親切そうな男の人が出てきて、「いやぁ、災難でしたね。でもこのメガネはすぐに直りますよ。今から直ぐに直しましょう。」と言ってくれて、若い社員に命じて、「これを直してあげてください。」と言ってくれたのです。同僚5人が表で待ってくれていますので、「何分くらい掛かるでしょうか。」と尋ねますと、「5分くらいでしょう。」とおっしゃいました。付いてきてくれた同僚に、「表に待ってくれている人たちに、あと5分くらい掛かること、先にご飯を食べてくださいとおっしゃってください。」と言いました。その間、メガネ屋さんでは、お茶を出していただき、しかも、濡れティッシュをくださいましたので、それで、目尻を拭きました。
 やがて帰ってきた同僚は、「先生(医師)からもう一度塗った方が良いと言われて薬をもらってきました」とおっしゃったので、薬を塗っていただきました。それから雑談をし、「震災のあとの道路の修復が未完成ですので、転ぶ人もいるのですね。」などと同情をしていただきました。
 そうこうするうちに、修理も終わり、レンズもピカピカに磨いてくださったのです。
 「ありがとうございました。お代はいくらですか」とお聞きしますと、その男の人は、「いや、いいですよ。大したことはしていませんので」とおっしゃるのです。
 「いや、そんな訳にはいきません。」と2~3度押し問答をしましたが、どうしてもお代は受け取っていただけません。
 私は、「本当にありがとうございました。お手間を取らせました。」と言って、その場を辞しました。
最後に名刺交換をしましたが、親切にしていただいた男の人は、安彦祐世代表取締役社長であることが分かりました。
 見ず知らずの他人にここまで親切にしていただいたことに恐縮するとともに、久し振りに心温まる経験をしました。「やはり、日本人は素晴らしいなぁ」と思った次第です。
 早速、本日、お礼状と共に、お礼の品を送らせていただきました。

 弁護士法人銀座ファースト法律事務所 弁護士 田中 清

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金は怒らず その2

 今から4年半前の2012年5月に「金は怒らず」という題で、ブログを載せたことがあります。
 ある裁判の裁判長は、和解の席でも当事者には一切話させません。しかし、出頭した当事者が説明者として適切な場合もありますので、「この点については、当事者から説明した方がよいと思いますので簡潔に説明させたいと思いますがいかがでしょうか。」と言っても、「いいえ、代理人である弁護士から言ってください」と言って全く応じません。
 その事件は、マンションの構造に係ることもありますので、その点に限って当事者に話してもらった方が裁判所、相手方、当方3者に分かりやすいと思ったので、もう一度「この点は、当事者に簡潔に説明してもらった方がよいと思いますが、いかがでしょうか」と裁判長に申し上げました。
 裁判長は、「それならどうぞ説明してください」と言いますので、私から「Aさん、どうぞ」といいましたところ、Aさんは、「今日は、説明しません」というのです。
 Aさんの態度も悪かったと思いますが、裁判長は、「折角、説明してもらう時間を作ったのになんですか。代理人、謝ってください。」というのです。
 なぜ、裁判長が私に謝罪を求めるのか、その意味が分かりません。こんなことをいう裁判長は、私の経験上初めてです。しかし、ここで、私が裁判長に抗議すれば、当事者に不利益な裁判をされるかもしれません。
 そこで、私は、私の体に染みついた「金は怒らず」の言葉どおり、裁判長に対し、「申し訳ございませんでした」と謝りました。

 当事者のために、その場で謝った私の対応は、今でも間違っていたとは思いませんが、このような理不尽な要求をする裁判長の訴訟指揮には、今でも釈然としないものが残ります。

  弁護士法人銀座ファースト法律事務所 弁護士 田中 清

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