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忘却とは

 先日、ある人が、「忘れることって仕方がないことなんですかね」と、おっしゃったことがあります。
 私は、直ちに、「『忘れる』というのは、神様が人間にくださった最大の贈り物ですよ。悲しみ、怒り、恨みなど、嫌なことをいつまでも覚えていて、長い間引きずっていたら、立ち直れないですものね。忘却があるから、新しい再出発ができるんですよ。」と言ったことがありました。
 悲しい死別もあれば、生き別れもあります。今、高校野球がありますが、スポーツでの敗戦もあります。怒りや恨みもあります。しかし、「時が解決する。」というのは、本当だと思います。どんな悲しいことでも、「忘却」があるから生きていけるのです。
 その昔、菊田一夫原作の「君の名は」のラジオドラマの冒頭で、「忘却とは忘れ去ることなり。忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ」の一節を読み上げていました。これは、主人公の春樹と真知子が、「互いに愛し合いながら、すれ違ってなかなか会えないが、忘れてしまったらどんなに心が軽くなるだろう。だけど忘れられない」という二人の心の葛藤を描いた一節です。だから、ドラマが成立するのかもしれません。
 反面、嬉しさは、楽しい気持ちですから、忘れたくないかもしれませんが、嬉しいことをいつまでも憶えていてニヤニヤしていれば、それもおかしいでしょう。嬉しいことを心の糧にして、次の喜びを求めて再出発したいと考えるのが通常でしょう。
 いずれにしても、人間は、忘却する生き物です。そして、忘却があるから、人生は楽しいのです。
   弁護士法人銀座ファースト法律事務所 弁護士 田中 清

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