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ろくろとひねり

 初任地の金沢地方裁判所の所長は、行政法で有名な浅賀栄さんでした。
 浅賀さんは、月に1回の昼食会で、いろいろとためになるお話をしていただきました。そのうちの1つに、「ろくろとひねり」という話がありましたので、紹介させていただきます。
 金沢は、九谷焼や大樋焼など、有名な陶器があります。
 陶器を作る方法には、ろくろで回しながら作る方法と、ろくろを使わずに、最初から粘土をこねて作る方法の2つがあります。後者はひねりと言います。
 浅賀所長は、「ろくろは経験がものをいう。何十年ものろくろの技術は、到底初心者がまねをしても熟練者の技術にはかなわない。一方、ひねりは、熟練者が大抵いいものを作るのだが、ときとして、初心者のひねりが熟練者のひねりを上回ることがあり、立派な作品を作り上げることがある。裁判官も同じである。文章表現などの技術は、ろくろと同じで、若い裁判官は熟練裁判官の文章表現にはかなわない。しかし、ひねり=法律的な発想は、ときとして若い裁判官の法律的な発想が熟練裁判官の法律的な発想を凌ぐことがある。したがって、若い裁判官は、熟練裁判官のろくろを見習うべきである。また、熟練裁判官は、若い裁判官のひねりを馬鹿にしてはならない」とおっしゃったのです。
 なるほど、熟練裁判官にも若い裁判官にも戒めになる言葉だと感心しました。
 弁護士 田中 清(銀座ファースト法律事務所)
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